毎年の税制改正 こんな流れで進められます
土曜日の新聞朝刊各紙に「最低賃金1,000円へ」といった記事が掲載されました。
具体的には、政府方針の「最低賃金全国平均1,000円」実現への議論開始、という内容です。
時給1,000円は高いような印象を受けますが、実は正社員の時間単位コストと比べるとまだかなり低いです。
飲食店などパート比重の高い業種には大きく影響しますが、受け入れざるを得ません・・・
コスト増の原資を確保するためには、「値上げ」しかないのが結論で、そのための工夫・努力が必須だと思います。
(参考:過去ブログ「中小企業の賃上げ どう実現するか」)
さて、この最低賃金引上げもそうですが、政府方針の実現を促すために毎年必ず税制改正があります。
税制改正は、通常国会で例年3月中に可決され、4月1日から施行されます。
今回は施行に至る流れを簡単にまとめてみました。
(順番は前後や並行(特に2.)がありますが、おおまかに捉えています。)
1.「経済財政運営と改革の基本方針」を閣議決定
通称「骨太方針」。今年は6/16に経済財政諮問会議での答申を経て閣議決定されました。
↓
2.政府方針、その時々の経済状況、社会状況を踏まえて原案を検討
その際は、国民や各種団体からの税制改正要望等も考慮されます。
私達税理士も、税理士会を通じて毎年必ず税制改正要望を提出しています。
↓
3.政府税制調査会、与党税制調査会で検討
政府税調は総理諮問機関。学者など有識者が中長期的な視点から議論します。
与党税調では毎年度の具体的な税制改正事項を審議します。
↓
4.税制改正大綱の発表(12月中~下旬)
まず与党税制改正大綱が発表され、それを基に政府として税制改正大綱を発表します。
両者に内容的な違いはありません。
この段階で次年度税制改正の内容がほぼ分かります。
↓
5.税制改正法案の通常国会への提出(2月)
↓
6.税制改正法案可決(3月)
↓
7.改正税法の施行(4月)
おおむねこのような流れで、具体的な税制改正が行われ、次年度以降私達の生活にも影響してきます。
今回のような政府方針を伝える報道は、税制改正への布石にもなっています。
そう考えると、ニュースの見方も少し変わってくるかも知れませんね。
日々報道される情報を、こつこつと注意深く見ることが、大事だと感じています。